建築研究資料第127号のデータ利用について

はじめに

ここでは、建築研究資料第127号「長周期地震動に対する超高層建築物等の安全対策に関する検討」(平成22年12月、以下資料と称す)に示されている、観測データに基づいて長周期地震動を推定するために求めた各回帰式の係数を提供しています。

全国共通の回帰係数

全国共通の回帰係数は、以下の4種類のファイルで提供されます。それぞれの係数は、海溝型地震と地殻内地震、水平成分と上下成分毎に分かれています。資料p.30の(2)式、及び資料p.31の(3)式に対応するものです。

  • 減衰定数5%の加速度応答スペクトル(Sa05)の回帰式における a(T),b(T),p(T),d(T),c(T),および回帰誤差err(T) [ファイル中のラベルはa,b,p,d,c,err]
  • 減衰定数1%の加速度応答スペクトル(Sa01)の回帰式における a(T),b(T),p(T),d(T),c(T),および回帰誤差err(T)
  • 減衰定数10%のエネルギースペクトル(Ve10)の回帰式における a(T),b(T),p(T),d(T),c(T),および回帰誤差err(T)
  • 群遅延時間の平均値の回帰式における係数 A1(f),B1(f),および回帰誤差err1(f)と群遅延時間の分散の回帰式における係数 A2(f),B2(f),および回帰誤差err2(f) [ファイル中のラベルはA1,B1,err1,A2,B2,err2]

log10Spc(T) = a(T)*Mw + b(T)*R - log10(Rp(T) + d(T)*100.5Mw) + c(T) + cj(T)

ここに、Spc: Sa05,Sa01,Ve10 のいずれか、Mw: モーメントマグニチュード、R: 断層最短距離(km)、cj: サイト増幅係数、err: 各スペクトルに関する回帰誤差

μtgr(f) = A1(f)*M01/3 + B1(f)*X + C1j(f)

σtgr2(f) = A2(f)*M01/3 + B2(f)*X + C2j(f)

ここに、M0: 地震モーメント(dyne*cm)、X: 震源距離(破壊開始点からの距離,km)、C1j(f),C2j(f):群遅延時間の平均値および分散に関するサイト係数、err1(f),err2(f):群遅延時間の平均値および分散に関する回帰誤差

減衰定数5%の加速度応答スペクトル
a(T),b(T),p(T),d(T),c(T)
海溝型地震 水平spc_sa05_abpdc_s_h.txt
上下spc_sa05_abpdc_s_v.txt
地殻内地震 水平spc_sa05_abpdc_c_h.txt
上下spc_sa05_abpdc_c_v.txt
減衰定数1%の加速度応答スペクトル
a(T),b(T),p(T),d(T),c(T)
海溝型地震 水平spc_sa01_abpdc_s_h.txt
上下spc_sa01_abpdc_s_v.txt
地殻内地震 水平spc_sa01_abpdc_c_h.txt
上下spc_sa01_abpdc_c_v.txt
減衰定数10%のエネルギースペクトル
a(T),b(T),p(T),d(T),c(T)
海溝型地震 水平spc_ve10_abpdc_s_h.txt
上下spc_ve10_abpdc_s_v.txt
地殻内地震 水平spc_ve10_abpdc_c_h.txt
上下spc_ve10_abpdc_c_v.txt
群遅延時間の平均と分散の回帰係数
A1(f),B1(f),A2(f),B2(f)
海溝型地震 水平tgr_ab_s_h.txt
上下tgr_ab_s_v.txt
地殻内地震 水平tgr_ab_c_h.txt
上下tgr_ab_c_v.txt

観測地点固有のサイト係数

各観測地点に固有の、サイト増幅係数(上式のcj(T))および群遅延時間に関するサイト係数(C1j(f)及びC2j(f))です。

ここでは各観測地点の地表におけるサイト係数を示します。工学的基盤でのサイト係数の値については、あとの「解放工学的基盤上の平均的なサイト係数」を用いて資料に示す方法により変換してください。

  1. サイト増幅係数cj(T)(海溝型地震、地殻内地震に共通な値としている)
    • 減衰定数5%の加速度応答スペクトルのサイト増幅率[Sa05.10^cj]
    • 減衰定数1%の加速度応答スペクトルのサイト増幅率[Sa01.10^cj]
    • エネルギースペクトル(減衰定数10%)のサイト増幅率[Ve10.10^cj]
    • (注意:ここではサイト増幅率を10cj(T)とし、その値を収録している)

  2. 群遅延時間に関するサイト係数(海溝型地震、地殻内地震それぞれについて与える)
    • 群遅延時間の平均値μtgrに関するサイト係数 [C1j]
    • 群遅延時間の分散σ2tgrに関するサイト係数[C2j]、C2j(f)の平方根値[sqrt(C2j)]

地名による検索

指定された語句を含む名称や県名の観測地点を検索します。

地名の一部:

緯度経度による検索

ある地点の緯度経度を指定し、そこから指定の距離以内の観測地点を検索します。すべてのパラメータを設定して[検索]ボタンを押してください。緯度経度は世界測地系で指定します。

緯度(度): 経度(度): より、距離(km): 以内

解放工学的基盤上の平均的なサイト係数

資料p.220「3-7 工学的基盤でのサイト係数の検討と地盤増幅率の面的補間の検討」で述べている工学的基盤でのサイト係数です。なお、工学的基盤のサイト係数の周期範囲は0.1秒から1秒(振動数1Hzから10Hz)です。

  1. 解放工学的基盤での地震動各スペクトルの平均的サイト増幅係数(海溝型地震、地殻内地震に共通、サイト増幅率10cj(T)として収録)
    • 減衰定数5%の加速度応答スペクトル - サイト増幅係数の平均値[Sa05.cj.av]と標準偏差[Sa05.cj.sd]
    • 減衰定数1%の加速度応答スペクトル - サイト増幅係数の平均値[Sa01.cj.av]と標準偏差[Sa01.cj.sd]
    • 減衰定数10%のエネルギースペクトル - サイト増幅係数の平均値[Ve10.cj.av]と標準偏差[Ve10.cj.sd]
  2. 解放工学的基盤での地震動の群遅延時間に関する平均的サイト係数(海溝型地震、地殻内地震それぞれについて与える)
    • 群遅延時間の平均値 μtgr - サイト係数の平均値[C1j.av]と標準偏差[C1j.sd]
    • 群遅延時間の分散 σtgr - サイト係数の平均値[C2j.av]と標準偏差[C2j.sd](標準偏差換算)
サイト増幅係数海溝型・地殻内地震共通 水平eng_spc_h.txt
上下eng_spc_v.txt
群遅延時間に関するサイト係数海溝型地震 水平eng_tgr_s_h.txt
上下eng_tgr_s_v.txt
地殻内地震 水平eng_tgr_c_h.txt
上下eng_tgr_c_v.txt

全係数の一括ダウンロード

すべての係数ファイルを含むzipファイルをダウンロードできます。容量は約20MBです。

謝辞

ここで示した係数の作成では、様々な機関から資料等をご提供いただいた。ここに記して感謝申し上げる次第です。

  • K-NET、KiK-net強震観測記録、及び観測地点情報は独立行政法人防災科学技術研究所のHPにおける関連情報を用いた。
  • 気象庁87型強震計、同95型強震計記録、および観測地点情報については、気象庁が頒布している87型強震計、同95型強震計データのCD―ROMの収録データによった。
  • 工学院大学新宿本校内設置地震計による観測データを用いた。

問い合せ先

建築研究所構造研究グループ 大川(okawa@kenken.go.jp)