内閣府の地下構造モデル(2013)に基づく係数の利用について

2. 三大平野の任意地点での長周期地震動を推定する改良経験式

資料147の図2.2-16~18に示すのと同様に, サイト増幅率の回帰式は横軸(線形軸)をTz , 縦軸(対数軸)を地盤増幅率とした場合に, 折れ曲げ点をTz =Tlim(T)としたバイリニア型で回帰されます。ただし, Tz の増加に伴う地盤増幅率の増加には頭打ちが見られるため, Tzの上限値を関東平野Tz =2.8秒, 濃尾平野1.54秒, 大阪平野2.93秒と定め, これら以上のTz の地点の地盤増幅率や群遅延時間の平均値, 標準偏差は一定となるようにしています。この部分を含めると, これらの式はトリリニア型で表現されています。

群遅延時間に関するサイト係数の回帰式は, 資料147の図2.2-30~35に示すのと同様に, 横軸(線形軸)をTz , 縦軸(対数軸)を群遅延時間の平均値や標準偏差として直線で回帰されます。ただし, 地盤増幅率と同様にTz の増加に伴う群遅延時間の平均値, 標準偏差の増加には頭打ちが見られるため, Tzの上限値を定め(関東平野Tz =2.8秒, 濃尾平野1.54秒, 大阪平野2.93秒), これら以上のTzの地点の群遅延時間の平均値や標準偏差は一定となるようにしています。

なお関東平野では, Tz≥1 秒の観測点でのC(T), cμtgr(T), cσtgr(T)は太平洋プレートで発生する地震に対する値であり, フィリピン海プレートで発生する地震に対する値(Cp(T), cpμtgr(T), cpσtgr(T))は太平洋プレートに発生する地震に対する値から

Cp(T)=C(T)*rat(T) ... [関係式1]

cpμtgr(T)=cμtgr(T)+diff1(T) ... [関係式2]

cpσtgr(T)=cσtgr(T)+diff2(T) ... [関係式3]

で与えられます。ここで,

rat(T): 太平洋プレートで発生する地震の増幅率に対するフィリピン海プレートで発生する地震の増幅率の比(資料147, 図2.2-23に示すのと同様に, 東京都内と東京都内以外で異なった値となる)

diff1(T): 太平洋プレートで発生する地震の群遅延時間の平均値のサイト係数とフィリピン海プレートで発生する地震の群遅延時間の平均値のサイト係数の差

diff2(T): 太平洋プレートで発生する地震の群遅延時間の標準偏差のサイト係数とフィリピン海プレートで発生する地震の群遅延時間の標準偏差のサイト係数の差

  1. 関東, 濃尾, 大阪平野におけるTzによる地盤増幅率に関わる係数の回帰式における係数a(T), b(T)
    • ファイル名は, tz_sa_kanto/nobi/osaka_cao2013.txtです。
    • 資料147,式2.2-2のTz≤Tlim(T)の場合の係数 a 及び b/4 (ファイル中のラベル a1, b1/4), Tlim(T)≤Tz≤Tmaxの場合の係数 a 及び b/4 (ファイル中のラベル a2, b2/4), Tlim(T)*4 (ファイル中のラベル tc*4)の順に並んでいます。
    • 関東平野の北緯34.5度-35.4度、東経139.5度-140.15度の範囲内において、Tzが 0.76秒以下の場合は周期1秒以上でTzを+1.2秒してください。また、大阪平野の北緯34.6度-34.75度、東経135.0度-135.35度 の範囲内において、Tzが1.2秒以上の場合は周期4秒以上でTzを+0.3秒してください。
  2. 関東, 濃尾, 大阪平野におけるTzによる群遅延時間の回帰式[資料147,式2.2-3, 2.2-4]における係数a1(T), b1(T), a2(T), b2(T)
    • ファイル名は, tz_tgr_kanto/nobi/osaka_cao2013.txtです。
    • 群遅延時間の平均に関わる[資料147,式2.2-3]の係数 a1 及び b1/4 (ファイル中のラベルA1, B1/4), 群遅延時間の標準偏差に関わる[資料147,式2.2-4]の係数a2 及び b2/4 (ファイル中のラベルA2, B2/4) の順に並んでいます。
    • 関東平野の北緯35.4度-34.5度、東経139.5度-140.15度の範囲内 において、Tzが0.76秒以下の場合は周期1秒以上でTzを+1.2秒してください。また、大阪平野の北緯34.6度-34.75度、東経135.0度 -135.35度の範囲内において、Tzが1.2秒以上の場合は周期1秒以上でTzを+0.3秒してください。
  3. フィリピン海プレートの地震に対する関東平野の地盤増幅率の補正に関わる関係式1における係数rat(T)
    • ファイル名は, tz_sa_ps_cao2013.txtです。
    • 東京(2.25≤Tz≤2.8)及びその他の地域での地盤増幅率の補正係数と標準偏差 [ファイル中のラベルtokyo.rat, tokyo.std, other.rat, other.std]の順に並んでいます。
  4. フィリピン海プレートの地震に対する関東平野の群遅延時間の補正に関わる関係式2,3における係数diff1(T), diff2(T)
    • ファイル名は, tz_tgr_ps_cao2013.txtです。
    • 東京(2.25≤Tz≤2.8)での群遅延時間の平均及び標準偏差の補正係数と標準偏差 [ファイル中のラベルdiff1, std1, diff2, std2]の順に並んでいます。
関東平野 地盤増幅率 tz_sa_kanto_cao2013.txt
群遅延時間 tz_tgr_kanto_cao2013.txt
濃尾平野 地盤増幅率 tz_sa_nobi_cao2013.txt
群遅延時間 tz_tgr_nobi_cao2013.txt
大阪平野 地盤増幅率 tz_sa_osaka_cao2013.txt
群遅延時間 tz_tgr_osaka_cao2013.txt
フィリピン海プレート地震の関東平野の補正係数 地盤増幅率 tz_sa_ps_cao2013.txt
群遅延時間 tz_tgr_ps_cao2013.txt

ここで公開している係数は内閣府(2013)の地下構造モデルに基づく係数であり、地震本部(2012)等の他の地下構造モデルには適用できませんのでご注意ください。

地震本部の地下構造モデル(2012)に基づく係数

謝辞

ここで示した係数の作成では, 様々な機関から資料等をご提供いただきました。ここに記して感謝申し上げる次第です。

  • K-NET, KiK-net強震観測記録、及び観測地点情報は独立行政法人防災科学技術研究所のHPにおける関連情報を用いました。
  • 気象庁87型強震計, 同95型強震計記録, および観測地点情報については, 気象庁が頒布している87型強震計, 同95型強震計データのCD-ROMの収録データによりました。
  • 工学院大学新宿本校内設置地震計による観測データを用いました。

問い合せ先

建築研究所構造研究グループ 中川(hiroto-n@kenken.go.jp)

文献等